【注文住宅】ライフサイクルコストを考えて賢く設計!我が家の実例【窓編】

家づくり

冬は暖かく夏は涼しい家を目指し、日射取得と日射遮蔽についてシミュレーションを実施しました。その結果を踏まえて、南面には大きなFix窓を採用し冬の日差しを最大限活用。一方で、夏は庇(ひさし)やアウターシェードで日射を調整し、快適な室内環境を実現しました。

また、気密性を高めるために、ドレーキップ窓とテラスドアを採用。窓計画をひと工夫することで、エアコンに頼りすぎない住まいを実現できました。夏と冬の光熱費の節約につながります。

窓の配置を考えずに設計すると、「冬は寒い」「夏は暑い」といった後悔につながることも。適切な日射コントロールが、快適で省エネな暮らしを実現するカギになります。

今回は「窓」の選び方を工夫して、ランニングコストを抑える方法 を紹介します!

ライフサイクルコスト(LCC)大きく分けて3つの要素

家を建てるとき、多くの人は「初期費用(イニシャルコスト)」 に注目しがちですが、実は 「住んでからのコスト(ランニングコスト+修理費用)」 も含めて考えることが大切です。

特に2025年からの省エネ基準適合の義務化 により、住宅の性能を高めるためのコストが増える可能性があります。しかし、長期的に見れば、工夫次第で住んでからのコストを抑えることができます。

我が家も家を建てる際に、必要なところに費用がかかることを理解し、快適さを損なわない工夫をたくさん考えました。そして、ただ「初期費用を安くする」のではなく、長期的にお得な選択をすることが大切だと実感しました。

イニシャルコスト(建築費用)

建築時にかかる初期費用(材料費・施工費など)

ランニングコスト(住んでからの費用)

住宅を維持していくために必要な費用

窓に限定して考えてみると…

  • 光熱費(冷暖房費) → 窓の性能・配置で大きく変わる
  • メンテナンス費用 → 窓の数・種類でメンテナンス頻度が変わる

修理・交換費用

修繕項目修繕の目安時期費用の目安内容
屋根の塗装・防水約10~15年50万~150万円屋根材の塗り替え・補修、瓦のズレ調整
外壁の塗装・補修約10~15年80万~200万円外壁の塗り替え、ひび割れ補修、防水加工
給湯器の交換約10~15年20~50万円給湯器の故障や性能低下による交換
バルコニー防水・補修約10~15年10~50万円防水シートの張替え、床の補修、手すりの点検
窓・サッシの交換約20~30年20~100万円サッシの劣化、気密性低下による交換
床の張り替え約10~20年20~100万円フローリングの劣化や傷の補修・張り替え
水回りのリフォーム(キッチン・浴室)約20~30年50~200万円設備の老朽化による交換、配管の補修
トイレの交換約15~20年10~40万円便器の劣化など
※費用は住宅の規模・仕様・地域によって異なります。

窓に限定して考えてみると…

  • 窓の劣化やサッシ・シーリングの補修費
  • 気密性や断熱性の低い窓は、劣化が早く修理費が増える可能性があります。

断熱性が低い窓は、冬場に内側がビショビショに。放っておくとカビや木枠の腐食につながり、補修工事が必要になる可能性があります。また気密性の低さはサッシのゆがみや雨水の侵入にもつながり、外壁や内装の修繕が必要になるケースも…。

住宅の省エネ性能向上と光熱費の削減効果

2025年からの省エネ基準適合義務化 により、住宅には一定の断熱性能が求められます。新築住宅では以下のような設備や工事が必要になるため、イニシャルコスト(初期費用)が増える可能性があります。しかし、それぞれの投資にはランニングコスト(光熱費や維持費)の削減効果があるため、長期的にみると家計にメリットをもたらします。

対策効果年間の節約額(目安)
高性能な断熱材の導入(壁・床・屋根)冬の暖房・夏の冷房効率が向上し、光熱費を削減2~5万円
樹脂サッシ+Low-Eガラスの採用窓からの熱損失を減らし、冷暖房の電気代を10~20%削減電気代10~20%削減
高気密施工(隙間風を防ぐ施工)室内温度を一定に保ち、エアコンの効率を向上冷暖房効率UP
第一種換気システム(熱交換型換気)冷暖房で快適な室温を逃さず、エネルギー消費を削減1~3万円
高効率エアコン・ヒートポンプ給湯器(エコキュートなど)電気代・ガス代を抑え、ランニングコストを削減3~5万円
日射取得・日射遮蔽の最適化 (シミュレーション+庇・シェード設置)冬は太陽熱を活用、夏は直射日光を遮り、冷暖房コストを削減冷暖房コスト削減
太陽光発電(自治体による義務化もあり)電気代を節約(エコキュートによるソーラーチャージ)+売電収入の可能性10~15万円+売電収入

【我が家の実例】省エネ基準を満たすための窓のコスト

1.日射取得シミュレーションを活用してコストを抑える

無駄な窓を減らし、適切な配置にすることで、省エネ基準を満たしつつ、ランニングコストを削減できます。

我が家では「日当たり君」をしっかり活用しました。周辺の建物や樹木が作る日影を、時刻別に1年間を通して計算できる優れもので、フリーソフトなのがとてもありがたい!

「日当たり君」操作ガイドより https://www.homeskun.com/products/homeshiatari/

✅ ポイント①:窓の配置を最適化する

  • 南側の窓を活用 → 冬に太陽の熱を取り入れて暖房費を削減
  • 北側・西側の窓の数は最小限に → 断熱性を高め、冷暖房効率を向上

ポイント②:窓のサイズを適切に選ぶ

  • 小さい窓をたくさんつけるより、大きな窓を1枚にする方がコストを抑えられる→窓枠の数が減ることで施工費・材料費を削減し、断熱性も向上

ポイント③:庇(ひさし)やアウターシェードを活用

  • 夏場の日差しを遮る工夫をすることで、冷房費を節約

日射取得シミュレーションを活用することで、最適な窓の配置と大きさ、庇や軒の位置や長さを選び、建築コストを抑えつつ、光熱費を節約できるのです。

 

https://www.homeskun.com/products/homeshiatari/

我が家の実例

  • ペアガラス→南面の窓に採用 特に冬場の日射取得のため。夏場はアウターシェードで日射遮蔽。
  • トリプルガラス → 断熱性能を高めるが、価格が高い。西・東・北側の窓はすべてトリプルガラス採用。西・東・北側の窓は面積小さく・数を少なく。
  • 樹脂サッシ → イニシャルコストはかかるが、断熱性があがり光熱費の低減や結露の予防に!わがやは樹脂サッシ一択です。
  • 窓の配置・大きさ  →日射取得シュミレーションを利用し、窓の配置を考えました。南面の大きな窓を、引き違い窓ではなくFIX窓にし、出入り用に外開きドア(テラスドア)を採用することで気密性をあげました。結果として窓枠のレールがないので掃除をするのも楽になりました。     実は外開きドア(テラスドア)と引き違い窓の開口幅はあまり変わりません。窓枠が同じ1600mm幅だと、引き違い窓の場合フレームの重なりや戸当たりを差し引いて開口幅は約750〜770mm、外開きドアの場合は742mmです。

ペアガラスはトリプルガラスに比べ価格が安い(約30~50%)ですが、断熱性能が劣り、 寒冷地では結露しやすいデメリットがあります。

我が家はちょうど寒冷地との境目なので、冬の日射をしっかり取り入れたい南面にペアガラス、結露が心配な東側と北側、西日を遮断したい西側の窓にトリプルガラスを採用しました。これで全面トリプルガラスにするよりも節約ができました。

南面には夏の日差しを遮るためのアウターシェードを付け、さらに西日が入る西側の窓にもアウターシェードを付けたことで夏の冷房費用が節約できました。

南面に入れたペアガラスは大きなFIX窓にし、縦長FIX窓を3枚(吹き抜け部分)入れることで引き違い窓に比べ気密性が上がり、暖房効率が上がります。

LIXILの樹脂サッシ|ペアガラス vs トリプルガラス(腰高窓)相場比較

仕様ペアガラス(複層ガラス)トリプルガラス
代表シリーズEW(エルスターS)EW(エルスターX)
ガラス構成2枚ガラス+中空層(Low-Eあり)3枚ガラス+中空層(Low-Eあり)
断熱性能(Uw値)1.31~1.48W/㎡・K0.79~0.90W/㎡・K
防音性能△(一般的な性能)◎(より高い遮音性)
結露のしにくさ
相場価格(腰高窓 W1,650×H970mm)6万~9万円10万~14万円
光熱費削減効果(年間)1万~3万円節約2万~5万円節約

つまり、ただ高性能な窓をたくさん付けるのではなく、賢く配置・選定することがコスト節約につながる のです。

二年住んでみて思うこと…。夏の日差しは思う以上に強烈で、日差しをシャットアウトするには内側のカーテンよりも外側のアウターシェードの方が効果が高く、エアコン1台で家の中を快適にすることができました。また、冬の日差しは温かく、利用しない手はありません。少しでも長く家の中に日差しが入るよう、自宅そのものが影を作らないようにし、窓の大きさ、設置する高さをシュミレーションを通して考えたことが快適さにつながりました。

部屋を移っても体感温度に差がないこと、トイレやお風呂の室温に差がないこと、家を建てる際の目標にしていました。快適に暮らすことは家族の健康につながります。少しでもどなたかの参考になれば幸いです。

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