家づくりで「どこに費用をかけるか?」は大きな悩みどころですよね。
私も家を建てるとき、とにかく初期費用を抑えることばかりを考えていた時期がありました。
でも実際に調べてみると、家は建てて終わりではなく、**住んでからのランニングコスト(光熱費・修繕費)**が大きな割合を占めることを知りました。
今回は、我が家が「窓の工夫」で快適さと省エネを両立させた実例をご紹介します!
ライフサイクルコスト(LCC)大きく分けて3つの要素
家を建てるとき、多くの人は「初期費用(イニシャルコスト)」 に注目しがちですが、実は 「住んでからのコスト(ランニングコスト+修理費用)」 も含めて考えることが大切です。
特に2025年からの省エネ基準適合の義務化 により、住宅の性能を高めるためのコストが増える可能性があります。しかし、長期的に見れば、工夫次第で住んでからのコストを抑えることができます。
我が家も家を建てる際に、必要なところに費用がかかることを理解し、快適さを損なわない工夫をたくさん考えました。そして、ただ「初期費用を安くする」のではなく、長期的にお得な選択をすることが大切だと実感しました。
①イニシャルコスト(建築費用)
建築時にかかる初期費用(材料費・施工費など)
- 土地関連費用
- 土地購入費
- 仲介手数料
- 登記費用(土地の所有権移転登記)
- 不動産取得税
- 建築費用
- 本体工事費(基礎・構造・内装・外装・設備など)
- 付帯工事費(外構・造成・地盤改良・給排水工事など)
- 設計費(設計士・建築士への報酬)
- 各種申請費用(確認申請・長期優良住宅申請など)
- 諸費用
- 住宅ローン関連費用(手数料・保証料・登記費用など)
- 火災保険・地震保険
- 引っ越し費用
- 家具・家電購入費
② ランニングコスト(住んでからの費用)
住宅を維持していくために必要な費用
- 住宅ローン返済費(借入の場合)
- 固定資産税・都市計画税
- 光熱費(水道・電気・ガス)
- インターネット・通信費
- 火災保険・地震保険の更新費用
- 修繕費(メンテナンス費用)
窓に限定して考えてみると…
- 光熱費(冷暖房費) → 窓の性能・配置で大きく変わる
- メンテナンス費用 → 窓の数・種類でメンテナンス頻度が変わる
③修理・交換費用
| 修繕項目 | 修繕の目安時期 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 屋根の塗装・防水 | 約10~15年 | 50万~150万円 | 屋根材の塗り替え・補修、瓦のズレ調整 |
| 外壁の塗装・補修 | 約10~15年 | 80万~200万円 | 外壁の塗り替え、ひび割れ補修、防水加工 |
| 給湯器の交換 | 約10~15年 | 20~50万円 | 給湯器の故障や性能低下による交換 |
| バルコニー防水・補修 | 約10~15年 | 10~50万円 | 防水シートの張替え、床の補修、手すりの点検 |
| 窓・サッシの交換 | 約20~30年 | 20~100万円 | サッシの劣化、気密性低下による交換 |
| 床の張り替え | 約10~20年 | 20~100万円 | フローリングの劣化や傷の補修・張り替え |
| 水回りのリフォーム(キッチン・浴室) | 約20~30年 | 50~200万円 | 設備の老朽化による交換、配管の補修 |
| トイレの交換 | 約15~20年 | 10~40万円 | 便器の劣化など |
窓に限定して考えてみると…
- 窓の劣化やサッシ・シーリングの補修費
- 気密性や断熱性の低い窓は、劣化が早く修理費が増える可能性があります。
断熱性が低い窓は、冬場に内側がビショビショに。放っておくとカビや木枠の腐食につながり、補修工事が必要になる可能性があります。また気密性の低さはサッシのゆがみや雨水の侵入にもつながり、外壁や内装の修繕が必要になるケースも…。
住宅の省エネ性能向上と光熱費の削減効果
2025年からの省エネ基準適合義務化 により、住宅には一定の断熱性能が求められます。新築住宅では以下のような設備や工事が必要になるため、イニシャルコスト(初期費用)が増える可能性があります。しかし、それぞれの投資にはランニングコスト(光熱費や維持費)の削減効果があるため、長期的にみると家計にメリットをもたらします。
| 対策 | 効果 | 年間の節約額(目安) |
|---|---|---|
| 高性能な断熱材の導入(壁・床・屋根) | 冬の暖房・夏の冷房効率が向上し、光熱費を削減 | 2~5万円 |
| 樹脂サッシ+Low-Eガラスの採用 | 窓からの熱損失を減らし、冷暖房の電気代を10~20%削減 | 電気代10~20%削減 |
| 高気密施工(隙間風を防ぐ施工) | 室内温度を一定に保ち、エアコンの効率を向上 | 冷暖房効率UP |
| 第一種換気システム(熱交換型換気) | 冷暖房で快適な室温を逃さず、エネルギー消費を削減 | 1~3万円 |
| 高効率エアコン・ヒートポンプ給湯器(エコキュートなど) | 電気代・ガス代を抑え、ランニングコストを削減 | 3~5万円 |
| 日射取得・日射遮蔽の最適化 (シミュレーション+庇・シェード設置) | 冬は太陽熱を活用、夏は直射日光を遮り、冷暖房コストを削減 | 冷暖房コスト削減 |
| 太陽光発電(自治体による義務化もあり) | 電気代を節約(エコキュートによるソーラーチャージ)+売電収入の可能性 | 10~15万円+売電収入 |
【我が家の実例】省エネ基準を満たすための窓のコスト
1.日射取得シミュレーションを活用してコストを抑える
無駄な窓を減らし、適切な配置にすることで、省エネ基準を満たしつつ、ランニングコストを削減できます。
我が家では「日当たり君」をしっかり活用しました。周辺の建物や樹木が作る日影を、時刻別に1年間を通して計算できる優れもので、フリーソフトなのがとてもありがたい!

✅ ポイント①:窓の配置を最適化する
- 南側の窓を活用 → 冬に太陽の熱を取り入れて暖房費を削減
- 北側・西側の窓の数は最小限に → 断熱性を高め、冷暖房効率を向上
✅ ポイント②:窓のサイズを適切に選ぶ
- 小さい窓をたくさんつけるより、大きな窓を1枚にする方がコストを抑えられる→窓枠の数が減ることで施工費・材料費を削減し、断熱性も向上
✅ ポイント③:庇(ひさし)やアウターシェードを活用
- 夏場の日差しを遮る工夫をすることで、冷房費を節約
日射取得シミュレーションを活用することで、最適な窓の配置と大きさ、庇や軒の位置や長さを選び、建築コストを抑えつつ、光熱費を節約できるのです。
https://www.homeskun.com/products/homeshiatari/
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我が家の実例

窓選びは「配置」と「種類の使い分け」がポイント
我が家では窓の性能を場所ごとに分けて考えました。
- 南面 → ペアガラス(太陽熱を取り込みたい場所)
- 東・西・北面 → トリプルガラス(結露・断熱対策を重視する場所)
さらに、引き違い窓は避けて FIX窓+テラスドア を採用。
これで気密性が高まり、冷暖房の効率もアップ。レールがないので掃除もラクになりました。
👉 ポイントは「すべて高性能にする」のではなく、場所に応じて窓の性能を使い分けること。
これだけでコストを抑えつつ、快適性を高めることができます。
もっと具体的に示すと、
- ペアガラス→南面の窓に採用 特に冬場の日射取得のため。夏場はアウターシェードで日射遮蔽。
- トリプルガラス → 断熱性能を高めるが、価格が高い。西・東・北側の窓はすべてトリプルガラス採用。西・東・北側の窓は面積小さく・数を少なく。
- 樹脂サッシ → イニシャルコストはかかるが、断熱性があがり光熱費の低減や結露の予防に!わがやは樹脂サッシ一択です。
- 窓の配置・大きさ →日射取得シュミレーションを利用し、窓の配置を考えました。南面の大きな窓を、引き違い窓ではなくFIX窓にし、出入り用に外開きドア(テラスドア)を採用することで気密性をあげました。結果として窓枠のレールがないので掃除をするのも楽になりました。実は外開きドア(テラスドア)と引き違い窓の開口幅はあまり変わりません。窓枠が同じ1600mm幅だと、引き違い窓の場合フレームの重なりや戸当たりを差し引いて開口幅は約750〜770mm、外開きドアの場合は742mmです。
ペアガラスはトリプルガラスに比べ価格が安い(約30~50%)ですが、断熱性能が劣り、 寒冷地では結露しやすいデメリットがあります。
我が家はちょうど寒冷地との境目なので、冬の日射をしっかり取り入れたい南面にペアガラス、結露が心配な東側と北側、西日を遮断したい西側の窓にトリプルガラスを採用しました。これで全面トリプルガラスにするよりも節約ができました。
南面には夏の日差しを遮るためのアウターシェードを付け、さらに西日が入る西側の窓にもアウターシェードを付けたことで夏の冷房費用が節約できました。
南面に入れたペアガラスは大きなFIX窓にし、縦長FIX窓を3枚(吹き抜け部分)入れることで引き違い窓に比べ気密性が上がり、暖房効率が上がります。
LIXILの樹脂サッシ|ペアガラス vs トリプルガラス(腰高窓)相場比較
| 仕様 | ペアガラス(複層ガラス) | トリプルガラス |
|---|---|---|
| 代表シリーズ | EW(エルスターS) | EW(エルスターX) |
| ガラス構成 | 2枚ガラス+中空層(Low-Eあり) | 3枚ガラス+中空層(Low-Eあり) |
| 断熱性能(Uw値) | 1.31~1.48W/㎡・K | 0.79~0.90W/㎡・K |
| 防音性能 | △(一般的な性能) | ◎(より高い遮音性) |
| 結露のしにくさ | △ | ◎ |
| 相場価格(腰高窓 W1,650×H970mm) | 6万~9万円 | 10万~14万円 |
| 光熱費削減効果(年間) | 1万~3万円節約 | 2万~5万円節約 |
つまり、ただ高性能な窓をたくさん付けるのではなく、賢く配置・選定することがコスト節約につながる のです。
窓の工夫は光熱費だけでなく健康にも
2年住んでみて実感するのは、部屋ごとの温度差がほとんどないこと。
冬でもお風呂やトイレが寒くなく、家のどこにいても快適です。
これは家族の健康にもつながると感じています。
「ヒートショックが心配」「夏の寝苦しさがつらい」…そんな悩みを減らせるのは大きなメリットですね。
まとめ
- 窓の配置と種類を工夫することで、光熱費を節約できる
- 「日射取得・日射遮蔽」を意識することで、夏も冬も快適に暮らせる
- 窓は「初期費用」だけでなく「ランニングコスト・健康」まで左右する大切な要素
これから家を建てる方は、ぜひ 窓に注目してみてください。
ちょっとの工夫で、長い目で見て大きな差が出ますよ!


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